新しい公共が開く、「自立」と「共生」
国の歳入で、税収が一番多かったのが平成2年(1990年)の約60兆円。これ以後、税収は低迷を続け、平成25年(2013年)の見込みでは43兆円程度です。
この間、拡大一途の行政需要により、国の歳出は100兆円を前後する規模にまで膨れあがっています。
そして、その隙間を埋めているのが借金である国債です。中でも、赤字国債は、平成25年度だけでも37兆円規模の発行となっており、税収と同規模にまでなっています。
「デフレの正体」の著者である藻谷浩介氏は、利益の分配は中央集権で行うことはできるが、負担の配分は地方分権、地域主権でしかできないと仰っています。このことに私は全面的に賛成で、お互いに意見の一致を見たと確認をしました。
つまりは、自分たちの税金がどのように使われているのかが見えるようにならない限り、あれもこれもができる時代ではなく、あれかこれか、さらには優先度はと言った選択していかなければならない時代では、受益と負担を身近なところから見える化することで、その地域で暮らす方々はより納得をして税金を納めて頂けると言うことです。
昨年末の政権交代以後、中央集権的思考が強くなり、現在では地方分権、地域主権などと言う言葉すら飛び交わなくなった状況に、私は非常に強い危惧を抱いています。
これからは、今までが何でも行政や官に丸抱えをしてもらっていたようなこと、特に、明治維新を経て、近代国家形成の過程で中央の「官」が吸い上げ、独占してきた「公共」の空間を、地域の人々に「奉還」し、中央と地方の政府のみならず、学校やNPOや各種団体、さらには個人に至るまで多様な主体が連携して担うような社会のありようを作るということが、これからの社会においては必要なことではないかと考えます。